July 25, 2019

Satoyama推進シンポジウム2019 パネルディスカッション「テーマ:里山里海×関係人口」(モデレーター:三重県 鈴木英敬知事、福山市 枝広直幹市長、むつ市宮下宗一郎市長)

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Leaders from municipalities discuss efforts to rejuvenate local areas at the Japan Times Satoyama Consortium symposium in Tokyo on June 4. | YOSHIAKI MIURA

地方自治体のリーダーたちは、このほど東京で開催されたフォーラムで、人口減少に歯止めをかけようと居住者を増やすことに固執するよりも、地方創生には各地域と一定の関わりを持つ、非居住の支援者を増やしていくことが重要だと訴えた。

6月4日に開催された Japan Times Satoyama 推進コンソーシアムのシンポジウムで、三重県知事の鈴木英敬氏、広島県福山市長の枝広直幹氏、青森県むつ市長の宮下宗一郎氏が出席し、「関係人口(特定の地域や地域の人々と多様に関わる人々)」の取り組みをどう盛り上げていくかについて、パネルディスカッションを行った。

このパネルディスカッションは、里山に関連する活動を広く内外へ発信していくことを目的とした本シンポジウムの一プログラムで、神奈川県横須賀市の前市長で、里山推進コンソーシアムの事務局長である吉田雄人が進行役を務めた。

鈴木知事は人口約180万人の三重県における、経済および人口統計の傾向を紹介し、関係人口増加に向けた新たな取り組みについて語った。

「三重県は県内総生産、経済成長率、税収増加率の全てが上昇傾向にあり、マクロ経済の観点からすると、堅調を維持しています」と、鈴木知事は述べた。知事が示したデータによると、県外から同県への移住者の数は、2015年以降の4年間で約1,000人に上ったという。

だが、居住者を増やして人口減少を食い止めるという考えに固執しては、国全体で人口問題を解決することにはならないと、鈴木知事は強調した。

知事は、「居住者を増やすことだけでは、人々が一つの場所から別の場所へ移動したにすぎないからです」と述べた。宮下市長と枝広市長も、この発言に同意して、うなずいていた。

そこで鈴木知事は、地域にとって大切なものを守る一手段として、関係人口を増加させる三重県の取り組みについて紹介した。

三重県は、深刻な人口減に苦しむ県内地域の関係人口増加と地域再生に向けた取り組みの一環として、「度会県(わたらいけん)」というプロジェクトを開始した。度会県とは、中部地方にある三重県南部に、かつて存在していた県の名前だ。

「本プロジェクトは複数の市町の協働を基盤としています。市町間での競争は成長を促進しますが、人と地域がつながることで、より容易に達成できる目標もあります」と、鈴木知事は述べた。

度会県は居住地に関わらず、誰でも登録でき、度会県内のさまざまな地域で行われる清掃活動や地域の祭りの存続活動や漁業・農業体験などといった、多彩なプログラムに参加することができる。

鈴木知事は、「現在、約1,000人の方が度会県民として登録していますが、その半数は県外在住の方です」と説明した。

知事はまた、地方の関係人口増加において必要不可欠なものは、その場所に関わるための、さまざまな方法を提供することだと指摘した。

広島県福山市は約47万人が暮らす、県内東端にある、瀬戸内海に面した都市だ。1945年の空襲で市街地の約80パーセントを消失した同市は、バラの花を復興のシンボルと位置付けており、「ばらのまち」としても有名だ。

枝広市長は、外部からの刺激―つまり関係人口―を取り込み、人口減少に直面している地方の活性化に、新たな発想を持ち込むことが重要だと語った。

「昨年以来、県外の民間企業に所属し、兼業、副業が可能な会社員5名が、戦略推進マネージャーとして福山市の業務に携わっています」と、枝広市長は述べた。そして、「全員、福山出身ではありませんが、自分たちの持つスキルとリソースを生かして、自己実現を成し遂げたいという彼らの思いと、新たな刺激に対する市のニーズが合致したのです」と話した。

一方、本州の最北端に位置する、人口約57,000人の青森県むつ市のかじを取る宮下市長は、人口減少は止まらないとした上で、「大事なのは、各地方自治体が、自治体独自の未来をデザインできるということです」と述べた。

地方自治体はその過程において、居住者だけに頼る必要はないと、宮下市長は述べた。むつ市は現在、居住者と非居住者の両方で構成され、無償で市政への提言を行う「応援プロデューサー」を150名抱えている。

「応援プロデューサーの経歴や職業はさまざまです。プロデューサーの方々は、自治体の役割に関する固定観念がなく、このことが、むつ市の多様な未来のシナリオを作成していく上で、重要な利点になっていることは間違いありません」と、宮下市長は語った。

市長は最後に、どれだけ不便であろうとも、自分の故郷に住み続ける人々がいて、その人々は自分たちが生まれ育った土地や地域に責任を感じているのだと話した。さらに聴衆に対して、それぞれが自分なりのやり方で、全国にあるこのようなコミュニティーの活性化に向けた取り組みに携わってほしいと呼びかけた。

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