April 26, 2024

フランク・ロイド・ライトの弟子が設計した一棟貸しの宿。

ライター:中和田ミナミ

リビングルームに隣接したテラス。新たにエタノール暖炉が設けられた。
COURTESY: HAYAMA KACHI-TEI

1923年東京・日比谷に、アメリカ人建築家フランク・ロイド・ライトの設計で<帝国ホテル>(通称ライト館)が建てられたことはご存じの方も多いだろう。このライトによる名建築は残念ながら1967年に解体されてしまったが、そのライトの一番弟子、遠藤新の建築はそう多くはないが日本各地に残っている。そのひとつが、天皇の現役の別荘である葉山の御用邸から歩いてすぐの場所にある<加地邸>だ。施主は、商社三井物産のロンドン支店長や保険会社の役員を務めた加地利夫。この建物は彼の別荘として1928年に建てられたものである。

遠藤新は、ライトが日本において設計に関わったすべての建築において、設計から竣工までを実質的に支えた建築家である。<加地邸>は、そんな遠藤が質の高い建築を多数設計した充実期の作品で、家具や照明器具にいたるまで遠藤の美意識が貫かれ、極めてデザイン密度の高い住宅作品となっている。

この住宅が登録有形文化財になったのは2018年。それを快適に宿泊できるよう改修したのが、建築家の神谷修平だ。かつて使用人室だった地下に、自然光あふれる浴室を新たに設けるなど、文化財的価値は尊重し改修しつつ、快適性や付加価値を生んでいる。2020年に一棟貸しの宿としてオープンした、別荘のような感覚で利用できる施設だ。

フランク・ロイド・ライトの弟子としても知られる建築家・遠藤新設計の<加地邸>(1928年竣工)は2107年に登録有形文化財に登録された。左/寝室。右/建物外観。プレーリースタイルという、ライトの住宅に見られる住宅様式だ。
COURTESY: HAYAMA KACHI-TEI

葉山・加地邸

神奈川県三浦郡葉山町1706
https://kachitei.link/

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