October 25, 2024

能登復興のためのチャリティー・ディナーを開催。

ライター:寺尾妙子

左から『ウオゼン』井上和洋、『一本杉 川嶋』川嶋亨、『余市サグラ』村井啓人、『ヴィラ・アイーダ』小林寛司。
PHOTOS: TAKAO OHTA

ジャパンタイムズが主催する「Destination Restaurants」を受賞した4人のシェフによる能登半島復興のためのチャリティー・ディナーが2024年9月27日、北海道余市町『エーヴランドホテル』で行われた。同町でオーベルジュ『余市サグラ』を営む村井啓人の声掛けで新潟県『ウオゼン』井上和洋、和歌山県『ヴィラ・アイーダ』小林寛司、さらに今年2024年に「Destination Restaurants」に選ばれ、令和6年能登半島地震の被災者でもある石川県七尾市『一本杉 川嶋』川嶋亨が集まり、40名のゲストをもてなした。今年2024年元旦の地震で被災した輪島市『ラトリエ・ド・ノト』池端隼也も参加予定だったが、直前の能登豪雨により被災して以降、地元で炊き出しを行っていることから当日の来場は見送られた。

提供されたコースは、シェフ各々が地元から持ち寄った食材を共同で作った前菜からデザートまでの8品。石川県、七尾産の新米と余市産イクラを合わせた「イクラご飯」、池端から送られた能登牛を使って現代風にアレンジした「肉じゃが」など、地方と地方、人と人のつながりが感じられる独創的な品々にゲストは舌鼓を打った。

今回は北海道の人気ワイナリー5軒の生産者も参加し、食事と共に希少なワイン5種を振る舞いつつ、ゲストからの質疑にも応答。岩三沢市『トアール・ワイナリー』ブルース・ガットラヴは「ブドウを収穫する繁忙期ですが、村井シェフの能登を助けたいという思いに賛同してここに来ました。人間の基本は助け合い。何かワインでお役に立てれば」と思いを語った。

左から『トアール・ワイナリー』『山田堂』『ドメーヌ モン』『登醸造』『ドメーヌ タカヒコ』のワイン。日本ワインを牽引する北海道のワイナリー5軒もイベントに参加した。

イベント終盤ではシェフ各々のスピーチも行われた。

「元日の震災以降、店の営業ができていませんが、料理人は料理をしていないと生きている心地がしません。一時は燃え尽き症候群にもなったが、今日は料理ができて幸せです。お客様の顔を見て元気をもらえました」と語る川嶋には会場からは温かい拍手が贈られ、盛会のうち、イベントは幕を閉じた。

参加シェフが持ち寄った食材が融合。「モロヘイヤと白貝 レモンマートル 寛司さん」と「イクラご飯」 。

『ウオゼン』井上が釣って2週間寝かせたアラを使った「井上さんの熟成アラ」。

『一本杉 川嶋』が山椒と生姜で煮浸しにした「井上さんの鮎」。

「サラダ」は震災時に割れた『ラトリエ・ド・ノト』のボトルを溶かしたガラスを使った器で。

『ウオゼン』井上によるツキノワグマをしゃぶしゃぶ仕立てにした「ジビエ鍋きのこスープ仕立て」。

能登牛と余市のジャガイモで作る川嶋流「肉じゃが」。

能登牛が主役の「牛ロースト」にはワインの搾りかすを混ぜたソースを添えて。

余市のきのこが香る「土鍋ご飯 川嶋ですよ」。

『ドメーヌ タカヒコ』のブドウを使った「葡萄のタルト」。

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