October 29, 2026
薪の⾹りに寄り添う「響」とロゼワインのカクテル。

PHOTOS: TAKAO OHTA
『ジャパンタイムズ』では国内外の美⾷家やインバウンド客に向けて、2021 年より毎年10 軒のレストランを選定し、「Destination Restaurants」として発表を続けている。対象となるのは、東京23 区と政令指定都市を除く⽇本国内のレストラン。福井県越前市で2025年2 ⽉にオープンした『TSUKIHI(ツキヒ)』も2026 年にその仲間⼊りを果たした。北陸新幹線・越前たけふ駅から徒歩15分ほどの場所にあり、⾃然派ワイナリー〈シックススリーエステート〉に併設されている。越前の伝統⼯芸が施された店内の熱源は、薪と炭のみ。イノベーティブなコースには冬の越前蟹はもちろん、昆布やウニ、そばなど福井県を代表する⾷材が盛り込まれるほか、信仰が深い⼟地で育まれた郷⼟料理を再構築した⼀品も登場する。そんな『TSUKIHI』のシェフ、⻑屋恭平に⽇本を代表するウイスキー「響」の新しい飲み⽅、そして料理とのペアリングを提案してもらった。

TSUKIHI
福井県越前市葛岡町8-10-1
Tel: 0778-24-0318
https://hp.restaurant-tsukihi.jp
「『Destination Restaurants』の授賞式で『響』のハイボールを飲んだときに感じた、ヨーロッパのウイスキーとは違う、⽇本的なまろやかさがすごく印象に残っています。そこに同じく樽で寝かせたロゼワインの酸味を効かせたらおもしろいなと思って、このカクテルをつくってみました」
ワイングラスに注がれた液体を揺らすと、華やかな⾹りが⽴ち上る。「響」と〈シックススリーエステート〉のロゼワイン、カベルネ・ソーヴィニョン100%の「02 R」を1︓4 の割合でデキャンタに⼊れ、軽く混ぜ合わせた後、越前焼のボトルに⼊れて5 時間寝かせたものだ。⼝に含むと、モルト由来の⽢みや重厚なコクに、ブドウの果実味としっかりした酸味が、伸びやかに広がる。
このカクテルに⻑屋が合わせたのは、こちらのスペシャリテ「椎茸と⿅のクロスティーニ」。ワインの搾りかすと塩麹でマリネした⿅⾁を、ブドウの枝で燻しながら薪⽕でローストした中⼼部を使⽤。その上に、燻製椎茸の出汁で炊いた⽣椎茸を重ねて、薄切りのチャバタ(パン)に載せたフィンガーフードだ。

「提供の直前に杉や檜の新芽を薪にくべてチャバタを下から炙っています。森の中で育った⿅と、クヌギや楢の⽊で育った椎茸という⽊の⾹りをリンクさせた料理なので、オークなどの樽で熟成させた『響』によく合うはずです」
この料理は⼀年を通して供されるが、季節によってレシピを変えているという。
「薪にくべるもので⾹りを調節しています。冬は⽊の⽪で燻⾹を強くし、夏は新芽を使って軽やかに。また、本州⿅は蝦夷⿅と違って、もともと脂が少ないので、⾃家製の鶏油を加えているのですが、さらに脂が少なくなる夏はそこに若狭⽜を加えたりもします」
季節の移ろいを表現した⼀品は、「⽇本の四季、⽇本⼈の繊細な感性、⽇本の匠の技を結集したウイスキー」をコンセプトとする「響」に⾒事に重なる。越前の地での森の⾹りのマリアージュ、ぜひお愉しみあれ。

長屋恭平(ながや きょうへい)
1985年岐阜県生まれ。18歳で食の道へ進む。イタリアや国内のレストランで腕を磨き、2017年からシェフを務めた神戸市『エッレ』で薪焼きと出会う。2024年1月、福井県越前市に移住。2025年2月、ワイナリー『シックススリーエステート』併設のレストラン『TSUKIHI』オープンとともにシェフ就任。






