September 10, 2026
フカヒレ料理に合う「響」の中国茶ハイボール。

PHOTOS: TAKAO OHTA
1897年に創刊された日本最古の英字新聞『ジャパンタイムズ』が、日本各地の訪れる価値のあるレストランを、毎年10軒選び発表するレストランリストが「Destination Restaurants」である。選考対象となるのは、東京23区と政令指定都市を除く、日本国内にあるレストラン。なかでもその年を象徴する1軒をRestaurant of the Yearとしているが、今年2026年はフカヒレ料理をコースで提供する『気仙沼KUROMORI』が選ばれた。
近年、海の生態系保護や動物愛護の観点から、フカヒレ、つまりサメのヒレを食べることが倫理的に好ましくないという風潮が世界的に広まっている。しかし世界一高品質といわれるフカヒレの生産地である気仙沼から、この地でのフカヒレの歴史や骨に至るまで余すことなく利用するその方法や考え方までをも踏まえて、あえてこの地にこだわり発信していこうとするシェフ黒森洋司の姿勢を含めての、審査員満場一致の選定だった。


宮城県(中国料理)
気仙沼 KUROMORI
宮城県気仙沼市弁天町1-4-7ホテル一景閣1F Tel: 0226-25-7660
https://kesennuma-kuromori.jp
その『気仙沼KUROMORI』と日本を代表するウイスキー「響」がコラボレーションを行った。その内容は、黒森が生み出すフカヒレ料理に合う、「響」の飲み方を提案するというもの。黒森は普段彼の店で提供している中国茶をベースに今までにない「響」の中国茶ハイボールを生み出した。
「東方美人をベースに、ラプサン・スーチョン、バラ茶の3つの茶葉をブレンドした中国茶に、ガスを充填し、炭酸中国茶をつくりました。いろいろと試した末に、「響」との配合は1:3としました」。
グラスを口に近づけるとまず「響」のかぐわしき香りが漂い、飲んだ瞬間はハイボールの爽快感が口の中に広がる。しかし炭酸が口の中から消えた瞬間に、どこからともなく中国茶の芳醇な味わいと香りが追いかけてくるのだ。飲んだ後しばらく、「響」と「中国茶」の余韻が残る。
その「響」の中国茶ハイボールに合う料理として黒森が選んだのは、コース料理に前菜として登場する「モウカザメの“えんがわ”」を使った一皿。フカヒレというとトロトロというイメージが大きいが、それをあえてカリッと揚げ、サクサクした食感が魅力の、ここでしか出会えない食材、かつ味わえない逸品だ。
「この店の料理は「おまかせ」スタイルなので常に変化します。コースは通常9種の料理が出ますがそのすべてにフカヒレが入るので、味や食感に変化がでるよう流れを考えています。そこで選んだのが、フカヒレ料理=トロトロの食感を良い意味で裏切るこの一皿です。また、中国茶を使ったハイボールとしたのは、中国茶は中華料理の油っぽさを切ったり、フカヒレのゼラチン質の感じも口の中でさっぱりとさせてくれるからです」。

また黒森は旬の食材を取り入れることと、この土地の食材を使うことを強調する。
「私のつくるフカヒレ料理は、地産地消、季節を常に意識し、ここ宮城そして岩手地域の旬のものしか使っていません。例えば春に鹿児島でたけのこが採れたとします。そうすると宮城の日本料理店では季節先取りでそのたけのこを使うかもしれません。でも、私はこの宮城の旬が来るまでは用いません。四季を先取りも追いかけもしない。この店の空間で食べるものは、この土地以外のものを使うと、料理も体調もバランスが崩れると思うのです。季節のもの、土地のものを取るのは薬膳の考え方のひとつですが、旬のものを食べるということが体にも環境にも良いと思います」。
この黒森の考え方は、多彩な原酒の個性を繊細に調和させて完成された「響」がもつ思想、「自然への敬意」「四季の移ろいを感じ取る感性」「異なるものを受け入れながら美しい均衡を生み出す「和」の精神」というものにも通じる。ぜひ実際に気仙沼を訪れ、この「響」とフカヒレ料理のハーモニーを味わっていただきたい。

黒森洋司(くろもり ようじ)
1976年、神奈川県横浜市生まれ。8歳から20歳まで北海道で過ごす。高校卒業後、札幌にあるホテルの中国料理店で料理の道に入り、21歳で上京。西麻布『香港ガーデン』で香港出身の料理人から広東料理と点心を学び、その後、東京『福臨門』グループに入社。同グループ初の日本人料理長を経て、飲食店のコンサルタント業に携わっていた。2011年に起こった東日本大震災をきっかけに同年10月、宮城県仙台市に移住し、餃子専門店やケータリングを経て、2014年『KUROMORI』オープン。市内で2度、移転の後、2025年9 月、気仙沼市にて『気仙沼 KUROMORI』をオープン。






